家づくりを考えると、選択肢は大きく3つになります。
ハウスメーカー、工務店、そして設計事務所。
ハウスメーカーは知名度があり、工務店は地域に根ざしている。
では設計事務所は——
「おしゃれな家をつくるところ」というイメージを持たれることが多いですが、それは一面にすぎません。
私は一級建築士事務所を構えて15年になります。
この記事では、3つの選択肢の違いを、できるだけ正直にお話しします。
ハウスメーカーと設計事務所——何が違うのか
最大の違いは、「商品の有無」です。
ハウスメーカーには、あらかじめ開発された商品体系があります。
間取りの選択肢も、使える素材も、工法も、各社のラインナップの中にあります。
初めて家づくりをする方にとって入口がわかりやすく、価格や見積もりが出やすいのは確かな利点です。
ただし、その商品の外に出ることは、基本的にできません。
「この土地の形に合わせて間取りを一から考えたい」
「20年後にリフォームするとき、特定の会社に縛られたくない」
——そういった要望は、ハウスメーカーの仕組みの外にあります。
完成後のメンテナンスや設備更新が自社を通じることが前提になりやすく、将来の選択肢が狭まることもあります。
設計事務所は、商品を持ちません。
その土地とそのご家族のためだけに、毎回一から考えます。
将来の修繕や改修についても、特定の会社に依存しない形で計画しておくことができます。
工務店と設計事務所——「設計と施工が分かれているかどうか」
根本的な違いは、設計する人と工事をする人が「別の組織かどうか」です。
地域に根ざした工務店には、優れた技術を持つ会社がたくさんあります。
私自身、信頼できる工務店と協力しながら仕事を進めています。
ただ、多くの工務店では設計と施工を同じ会社が担当します。
窓口がひとつで話が早い半面、工事の品質を第三者の立場で確認する人がいません。
設計事務所との家づくりでは、設計者と施工会社は独立した関係にあります。
私は建築主の代理人として、工事が図面通りに進んでいるかを現場で確認します。
断熱材の施工状況、完成後には見えなくなる部分の収まり——施工会社とは利害関係のない立場でチェックするのが、工事監理の仕事です。
自動車に例えれば、販売店とは別に、購入者側の専門家が品質を確認しているようなものです。
また、施工会社は計画ごとに選定します。
「この建物にはどの工務店が最適か」を軸に判断でき、特定の会社に縛られません。
図面の密度 ― 私の強み
もうひとつ、設計事務所の仕事(私の仕事)で見えにくい部分があります。
それは、図面の密度です。
私が作る図面は、
壁の中の断熱材の納まり、窓枠の取り付け方、完成後には見えなくなる部分まで細かく描き込みます。
職人が迷わず施工できるよう、すべてを図面に落とし込むことが設計者の仕事です。
「こう作りたい。こう見せたい。」を、すべて詳細に図面化します。
設計事務所の設計料はいくらか
弊所の設計・工事監理料は24,200円/㎡(税込)がベースです。
施工床面積105㎡(約32坪)であれば、設計・工事監理料は約254万円になります。
「設計料が別途かかるから高い」という声をよく耳にしますが、少し補足が必要です。
ハウスメーカーでも工務店でも、設計と監理の費用は必ず発生しています。
違いは「見せ方」です。
設計事務所では「設計・工事監理料」として明細に表示します。
ハウスメーカーや工務店では、本体価格や諸経費の中に含まれています。
費用の中身は同じ、表示の仕方が違う——まずそこを知っていただきたいと思います。
設計料の内訳はこちらのページで詳しくお伝えしています。
設計事務所が向いている人、向いていない人
「とにかく早く決めたい」「とにかく安いところで建てたい」という方には、率直に言って設計事務所は向いていません。
計画に時間がかかりますし、安くてよい家、というのは今のご時世、難しいです。
別の選択肢の方が合います。
では向いている方は。
定年後の暮らしを見据えて、今のうちに住まいを考えたい。
建替えかリフォームか、まだ迷っている。
光熱費が低く手間のかかりにくい家を求めている。
流行のデザインではなく、自分たちの暮らしに合った家をつくりたい。
長く付き合える設計者を探している——こういう方に、設計事務所という選択肢は合います。
「長く付き合える」という点は、実際に大きな意味があります。
私は設計から工事監理を経て、竣工後もお施主様との関係が続きます。
家に何かあったとき、相談できる設計者がいることは、長く住む上でひとつの安心になります。
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家づくりは、人生の中でも大きな決断のひとつです。
だからこそ、
どの会社で建てるかを決める前に、
どんな暮らしを送りたいのかを考える時間を持っていただきたいと思います。
設計事務所という選択肢が、その答えのひとつになるかもしれません。
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