Performance|暮らしの性能
性能の良い家とは、数字の優れた家のことではないと、私は思っています。朝の光の入り方、冬に床を踏む感触、どこにいても家全体が穏やかな温度に包まれているあの感じ──そういうものを支えているのが、本当の意味での住まいの性能です。
断熱等級や耐震等級といった数値は、その性能を裏付けるための根拠にすぎません。数値が高いことで安心できる。しかし、数値だけを追いかけてもいい家にはならない。
弊所では、計画の初期段階から、耐震・断熱・省エネ・素材・開口部計画を一体的に検討しながら設計を進めています。性能とデザインは、正しい順序で検討すれば、かならず両立できると考えています。
設計の質|図面と監理
一般的な注文住宅の建築図面は30〜40枚前後とされる中、弊所では建物規模にもよりますが、工事用の詳細図を含めて80〜90枚程度の図面を作成します。図面の枚数は、設計者がどこまで深く考えたかの証でもあります。
工事の進捗に合わせて定期的に現場に赴き、図面どおりに施工されているかを確認する工事監理も行います。図面を描くことと、現場を見ることは、設計の仕事の両輪です。
建具・造作家具・手摺にいたるまで、一つひとつ図面を描き、大工の手で製作します。
▲ 施工図面の一例(80〜90枚のうち抜粋)
素材|無垢の木
無垢の木は、正しく使えば長く美しく、住む人の手に馴染んでいきます。弊所では、床・構造・造作のそれぞれに適した樹種を選び、乾燥・加工の段階から素材を選定しています。
「いい素材を使う」ことよりも「素材を正しく使う」ことの方が、住まいの質に直結すると考えています。
▲ 床・造作・構造材(すべて無垢材使用)
構造・耐久性|屋根
屋根は住まいの耐久性を左右する最も重要な部位のひとつです。
弊所では通気・断熱・防水の三層構成を標準とし、長期にわたって性能が維持される設計としています。
垂木・野地板・断熱材・通気層・防水層の各層を図面で明確に定め、現場での施工精度を担保します。
▲ 上:屋根施工中 下左:屋根断面詳細図1 下右:屋根断面詳細図2
構造・耐久性|骨組み
無垢の杉・桧を主構造材として使用しています。乾燥・加工の精度が構造の耐久性に直結するため、素材の調達段階から確認を行っています。
現在の標準仕様(2021年以降)
柱・梁:3.5寸材(105mm)の杉(無垢材)
土台:桧(無垢材)
※ 許容応力度計算の結果により、必要箇所には4寸材以上を使用します。
▲ 左:建て方施工中 右:軸組モデル(構造確認用)
構造・耐久性|耐震
壁量計算ではなく、すべての柱・梁・接合部を個別に検討する許容応力度計算によって、耐震等級3を実現しています。
耐震等級(最高等級)
等級3
建築基準法の1.5倍の耐震性能。地震保険の割引対象。
構造計算の方法
許容応力度計算
全柱・梁・接合部を個別検討する本式の構造計算。
▲ 左:建て方完了 右:ベタ基礎配筋
環境性能|断熱
断熱等級(HEAT20 G2相当)
等級6
参考プランのUA値 0.34(基準値 0.46 を大きく上回る)
断熱層の標準構成
屋根:吹込み断熱 300mm
壁:充填+付加断熱
床:硬質発泡断熱材
弊所の参考プランで国の最高水準である等級7と等級6の中間を取得可能であることを計算書で確認しており、実際のプランにおいても初期段階から断熱設計を行います。
▲ 断熱等級6 外皮性能計算結果(参考)
環境性能|省エネ
一次エネルギー消費量等級
等級8
現行最高等級(2026年時点)
省エネ等級は、断熱・換気・設備機器の総合的な性能によって決まります。弊所では設備選定の段階から省エネ性能を考慮した提案を行います。
▲ 省エネ性能計算参考結果(※2025年の等級表示)
環境性能|光熱費
弊所設計の参考プラン
255,993円/年
国の省エネ基準レベル
356,162円/年
30年・40年という時間軸で見ると、断熱性能への投資は300万〜400万円規模の光熱費削減として回収されることになります。
設計の段階で断熱と省エネ設備をしっかり組み立てておくこと──それが長く住む住まいにとってどれほど重要か、この数字が物語っています。
▲ 建物燃費(年間光熱費)シミュレーション計算結果(参考)
開口部|窓と自然
家の中でもっとも熱の移動が多い部分が窓です。窓の性能は家全体の断熱性能・省エネ性能を左右する非常に重要な要素です。
弊所では、遮熱性・断熱性・気密性の高い、屋内側・屋外側ともに樹脂製の枠を採用した樹脂窓を標準仕様としています。また、窓ガラスにはLow-Eペアガラス(2枚ガラス仕様)を標準仕様とし、全体予算と相談しながら、可能であればLow-Eトリプルガラス(3枚ガラス仕様)をお勧めしています。
Low-Eガラスとは「低放射ガラス」の意味で、表面に特殊金属膜をコーティングしたガラスです。弊所では、日射の入りにくい西面・東面・北面には『遮熱タイプ』、冬の日射取得を重視する南面の大きな窓には『断熱タイプ』と、方位によって適宜使い分けています。
自然エネルギーを活かす設計
太陽の光や熱といった自然エネルギーを取り込む設計を心がけています。太陽の動きに素直な建物の配置、窓の開け方、屋根や庇の形状を考慮することで、日射を必要に応じて取り込んだり遮ったり、風の抜けを生み出すことができます。
・ 夏は日射を遮り、暑さを和らげ涼しい家
・ 冬は日射を取り込み、熱を逃がさない暖かい家
・ 風通しのよい家
小さくても庇を設けることで、日射遮蔽に加え、雨天の際にも窓を開けたままにしておくことが可能です。
どの方向に視線が抜けるか、風をどう通したいか、隣家の状況は──現地でしか確認できない情報を整理したうえで設計します。「敷地の中の気持ちよい方角を探す」「太陽の恩恵を受ける窓配置」、これが弊所の開口部設計のコンセプトです。
STANDARD SPEC|標準仕様について
このページでご紹介した内容は、弊所が現時点で推奨する標準的な仕様です。
お客様のご要望・ご予算・建設地の諸条件によって、各仕様はグレードアップ・ダウンを含め柔軟に対応しています。仕様に関するご質問は、相談会や設計打合せの際にお気軽にお聞きください。
FAQ|よくある質問
Q性能を高めると、設計の自由度やデザインは制限されませんか?
適切な設計プロセスを踏めば、性能が高いほど住まいは自然に心地よくなります。弊所では間取りの初期段階から耐震・断熱・開口部を同時に検討するため、後から無理な調整が生じません。
Q断熱等級6は、すべての住宅で標準仕様ですか?
参考プランで等級6が取得可能であることを計算書で確認しています。実際の設計では、プランや敷地条件に応じて個別に計算・検討します。
Q許容応力度計算と壁量計算はどう違うのですか?
壁量計算は建築基準法の最低基準を満たすための簡易計算です。許容応力度計算は、すべての柱・梁・接合部を個別に検討する本格的な構造計算で、耐震等級3の取得に必要です。
Q工事監理とは、どのくらいの頻度で現場を確認するのですか?
工事の進捗に合わせて定期的に現場を訪問し、図面どおりに施工されているかを確認します。特に重要な工程(配筋・断熱・防水)は必ず立ち会います。頻度はプロジェクトによって異なります。
NEXT STEP|次の一歩へ NEW
弊所の自邸(千葉市中央区)では、断熱・温熱環境・素材の質感を
実際にご確認いただける見学会を定期的に開催しています。
また、家づくりについての疑問や不安を気軽にお話しいただける
相談会(無料)も随時受け付けています。