コラム|家づくりの考え方
── 仕組み・監理・報酬。3つの視点から考えます
「工務店とハウスメーカーと設計事務所、結局何が違うんですか?」
家づくりのご相談で、よくいただく質問です。
デザインの好み、性能の違い。そう答える人は多いと思います。
でも、正直に言うと、一番大きな違いは別のところにあります。
今日は、仕組み・監理・報酬という3つの視点から、その違いを率直にお話しします。
1|仕組み
自分の仕事を、自分でチェックする無理
工務店やハウスメーカーの多くは、設計する人と、建てる人が、同じ会社にいます。
ここで、少し考えていただきたいことがあります。
自分が建てたものを、自分で検査する。これは、どれほど難しいことでしょうか。
悪気があるという話ではありません。人は誰でも、自分の仕事には甘くなります。
これは、会社の誠実さの問題ではなく、仕組みそのものが持つ、避けられない限界です。
設計事務所に頼むと、ここが変わります。
図面を描いた人間が、現場に立ち、工務店の仕事を第三者として見る。
自分の仕事を、自分でチェックしない。そういう体制になります。
2|監理
第三者として、現場に立つということ
設計事務所に頼むと、図面を描いた人間が、そのまま工事監理も行います。
現場に立ち、図面通りに施工されているかを、住まい手側の立場で確認する。
これは、施工会社に対して「もう一つの目」を持ち込むということです。
職人さんの仕事を疑うという話ではありません。
どれほど腕のいい職人さんでも、見る人がいなければ、気づかれない間違いは起こり得ます。
それは職人さんの問題ではなく、確認する人間がいるかどうかの問題です。
設計と施工が同じ会社の場合、この「もう一つの目」は、社内の誰かが兼ねることになります。
設計事務所に頼むと、この目は、はじめから独立した立場として存在します。
3|報酬
工事費と一緒に膨らむ仕組みか、膨らまないか
設計事務所の報酬には、もう一つ、知っておいていただきたいことがあります。
世間では「工事費全体の10〜15%」という計算方法が一般的です。
この方式には、一つ気になる点があります。工事費が上がれば、設計事務所の報酬も、自動的に上がってしまうということです。
これでは、コストを抑えようとする力が働きにくくなります。
設計者が施主の味方であるはずなのに、工事費が高いほど自分の報酬も増える。この矛盾は、正直に見つめるべきだと思っています。
弊所は、この方式を採用していません。延べ床面積に対する単価(㎡単価24,200円、税込)で、設計料をあらかじめ決めています。
工事費が上がっても、弊所の報酬は変わりません。コストを抑える理由が、こちらにもきちんとあるということです。
設計と施工の関係|比較
| 項目 | 工務店・ハウスメーカー | 設計事務所 |
|---|---|---|
| 設計と施工の関係 | 同じ会社が担う | はじめから分かれている |
| 現場の品質チェック | 主に現場監督(工事責任者)が担当 | 設計者本人が工事側とは独立した立場で関わる |
| 報酬と工事費の関係 | 工事費に含まれることが多い | ㎡単価で固定(弊所の場合) |
どちらが正しい、という話ではありません。
ただ、この違いを知っているかどうかで、考える視点、選び方は変わってくるはずです。
まとめ
仕組みで選ぶ、という視点
自分の家を、自分だけでチェックする人に頼むか。
第三者として見てくれる人に頼むか。
そして、その人の報酬が、工事費と一緒に膨らむ仕組みか。
膨らまない仕組みか。
難しい話をしているつもりはありません。
この二つを知っているかどうかで、選び方は変わってくるはずです。
老後の住まいは、やり直しがききません。
だからこそ、仕組みで選んでほしいと思っています。