今回も「建築確認申請」とあわせて、「長期優良住宅」の申請を行っています。
長期優良住宅とは、耐震性や省エネ性能などが高く、長く快適に住める家を目指す制度で、
【耐震等級3】(最高等級)などの基準(※耐震等級2でも申請可)をクリアする必要があります。
さて、2025年4月に建築基準法が大きく改正されたのをご存知でしょうか?
この改正により、住宅の設計や申請手続きにも大きな影響が出ています。
建築基準法改正で、構造の審査がより厳しく
今回の改正では、これまで簡略化されていた木造2階建て住宅にも構造に関する提出書類が求められるようになりました。
つまり、「構造計算書」までは求められない場合でも、構造を検討した図面や資料の提出が必須になったのです。
そのため、審査を行う構造担当者の業務も大幅に増加しているようで、
実際に弊所でも図面を提出してから3週間以上、何も連絡がない…という状況がありました。
審査担当者からは「今までの2倍以上の時間がかかっている」との声もありました。
「耐震等級3・許容応力度設計」の設計は、今後のスタンダード?
弊所では以前から、長期優良住宅の申請にあたり【耐震等級3】を取得するため、許容応力度設計という詳細な構造計算を行ってきました。
そのため、今回の法改正による追加対応はほとんどありませんでした。
ですが、これまで構造にあまり関心を持たなかった実務者にとっては、かなりの混乱が生じているようです。
これからは、構造についてしっかり理解した上で設計を行うことが、より一層重要になってくると感じています。
「構造計画」の重要性とは?
ここで注目したいのが、構造計画の重要性です。
構造計画とは、建物の設計において、本格的な構造計算を行う前の段階で、
建物にかかる“力の流れ”をイメージしながら間取りを考えることを指します。
私自身は、簡単に、以下のように捉えて設計を行っています。
- 屋根から(上から)の重さがどう伝わっていくのか
- 2階の床から1階、そして基礎まで力がスムーズに流れるか
- 無理のない梁(骨組み)で構成されているか
といったことを考えながら設計することが、構造計画です。
(※もっと厳密なルールを設定している構造設計者の方もおられますが、ここでは分かりやすく簡単にまとめています。)
こうした視点を持って設計すると、効率よく柱や壁の位置を決められるため、構造計算の際にもスムーズで、
結果として経済的な設計(経済設計)にもつながります。

力技ではなく「合理的に」耐震性能を高める
構造計算を実際にやってみるとよく分かるのですが、
構造計画がしっかりしている建物は、あとから無理やり補強するのではなく、自然な形で耐震性能が高くなるのです。
耐震性能をしっかり確保するには、「耐震等級3」などの基準を満たす必要がありますが、それには無理のない構造計画が不可欠です。

無理なく・難しくなく
2025年4月の建築基準法改正により、これまで以上に「構造」への意識が求められる時代になってきました。
特に、耐震等級3・許容応力度設計・構造計画といった考え方は、今後の住宅設計のスタンダードになると言えるでしょう。
構造をきちんと考えた家づくりは、安心・安全で、長く快適に暮らせる住宅を実現する第一歩です。
これから家を建てる方には、ぜひ知っておいていただきたい大切なテーマです。
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